【NETFLIXで配信中!】北朝鮮強制収容所の真実 映画『トゥルーノース』
こんにちは♡ゆみんです♡
今日は、今年見た映画のなかでゆみんの心を震わせた映画のご紹介です。
『トゥルーノース』(2020/日本・インドネシア)
”北朝鮮強制収容所の過酷な環境で生きていく家族とその仲間たちが成長していく姿を、生存者証言を参考に描いた長編アニメーション”です
この映画は国際映画祭でも高く評価されており、
・北朝鮮の強制収容所というリスキーなテーマ
・そのテーマゆえ資金集めが難航し製作期間は10年越え
・インドネシアの優秀なアニメーターが全編3Dで作成
などなど、気になる制作秘話がもりだくさんな作品です。
目次
- 予告編&あらすじ
- 制作背景 映画で人を救いたい
- 実際の脱北者にインタビュー リアリティあるエピソード
- 資金集めが難航 構想期間は10年に
- 音楽はディズニーアニメ『〇〇』も担当のマシュー・ワイルダー氏
- 極限の環境下にもあった”人の温かさ”を
- おまけ・北朝鮮の真実を知る洋書
予告編&あらすじ
1950年代から始まった在日朝鮮人の帰還事業により北朝鮮に渡ったヨハンの家族は、両親と幼い妹とともに金正日体制下の北朝鮮で暮らしていた。しかし、父親が政治犯の疑いで逮捕されたことにより、母子は強制収容所に入れられる。極寒の収容所での苛烈な生活に耐え忍びながら家族はなんとか生き延びていたが、収容所内の食料確保によるトラブルによって母が殺害され、自暴自棄となったヨハンは次第に追い詰められていく。そんなヨハンは、死に際に母が遺したある言葉により、本来の自分を取り戻していく。 ー映画.com引用
制作背景 映画で人を救いたい
「メディアを通して、人道的なインパクトを残したい」
という清水ハン栄治監督の思いの元に製作された『トゥルーノース』。在日コリアンである清水監督の出自と結び付け、「在日コリアンだからこの映画を作ったのだろう」と思われがちだそうですが、もっと別の目的があったと清水監督は語っています。
「収容所には、今も12万人が生きるか死ぬかの状態でいます。その人たちを救う動きがないので、僕は映画を作っている人間として、彼らを全員救うことは無理かも知れないけれど、この映画で一つの拷問や処刑、飢餓がなくなったりすれば、それが自分にとってのムーンショットだと思っています。」
※「ムーンショット」とは、欧米のビジネス界などでよく使われる言葉。ケネディ大統領が月に行くと言い出したことで皆が動きやり遂げたことが由来で、大きな目標を立てて達成できるよう動くという意味
実際の脱北者にインタビュー リアリティあるエピソード
映画には清水監督が実際に脱北者の方から聞いた数々の体験がもりこまれ、リアリティを増しています。映画の中でも衝撃的なシーンのひとつに、収容所内で瀕死の女性が「私は拉致されて来た。家に帰りたい」と語るシーンがあります。これも実際に脱北者の方が監督に打ち明けたエピソードだそう。拉致問題が未解決の日本にとって、拉致問題が他人ごとではないと実感させられるシーンです。
清水監督がコンタクトをとった団体はこちら
資金集めが難航 構想期間は10年に
現代のホロコースト、強制収容所というタブーともいえるテーマゆえ、スポンサー集めに苦心します。完成までの10年間の半分以上は、企画書やサンプル映像を各所に持ち込み、資金集に費やされることに。清水監督も自身の貯金をはたき、なんとか制作を続けたといいます。
初めはいかに資金を集めるかにフォーカスしていたそうですが、途中から「いかに低予算で作れるか」にシフトチェンジ。その過程でインドネシアの優秀なアニメーターたちに出会い、信じられないような低予算で制作することが出来ました。
「取材した内容を実写やドキュメンタリーで描くとあまりにも残酷すぎてホラー映画になっちゃうぐらい酷くて、誰も観ないなと思ったんです。感情が揺さぶられてほしいんだけど、観賞後のトラウマを残したくはなかった。だからアニメという形を選びました。」
幅広い人種、年齢の人に見て欲しいという理由から、アニメ&言語も英語というスタイルにこだわり、この映画が完成しました。
音楽はディズニーアニメ『〇〇』も担当のマシュー・ワイルダー氏
映画に欠かせない音楽を担当したのは、あのディズニーアニメ『ムーラン』の楽曲担当者、マシュー・ワイルダー氏。清水監督の熱い思いに共感し、直談判が実りました。
主人公が炭鉱の中で収容所の人々を鼓舞するために歌うシーンや、葬儀で印象的に使われる”夕焼け小焼け”がとても印象的です。
こちらの動画でご覧いただけます。
極限の環境下にもあった”人の温かさ”を
『トゥルーノース』は、北朝鮮の強制収容所の残酷な実態を描いているだけではありません。極限の状況で生きる人々が見せる、理性、悲しみ、思いやり、ユーモア、愛といった、人間が持つ本来の温かさも描かれています。
「告発だけの映画ではなく、共感できる人間的な話を映画にしたかったんです。脱北者の方は告発したいという思いがあるので、悲惨な側面だけの話をされる方が多いです。僕はそこから深堀りして、収容所の仲間たちの間で友情、助け合い、ユーモア、ロマンスがあったことを聞き出しました。」
そこに生きる人々が、私達と何ら変わりない人間であると実感できたとき、このような人権侵害があってはならないとより一層強く思えるのです。
日本では一部の映画館でのみ公開されていましたが、2021年11月4日からNETFLIXで配信がスタートしました。
リスキーなテーマゆえスポンサー集めにも苦心し、劇場公開数も限られたこの作品が、NETFLIXを通して全世界に配信されるのは素晴らしいこと。これほど重要&価値ある映画が、動画配信サービスがなければ、完全に埋もれていたかもしれないのです。
良くも悪くも情報があふれている現代。情報の受け取り手として、ひとりひとりが本当に価値あるものをしっかりと見極めなければなりません。
苦しみ、もがきながらなんとか生き抜こうとするヨハン
命を顧みず人々を助けようとしたヨハンの父
過酷な環境下でも美しい心を失わなかった母と妹のミヒ
そして彼らをとりまく人物ひとりひとりの姿が、この平和な国、日本に生きる私達に「あなたはどう生きるか」というテーマをつきつけてきます。
おまけ・北朝鮮の真実を知る洋書
『トゥルーノース』の衝撃が凄すぎて、鑑賞後に本でも深掘りしてしまいました。こちらの2冊は、北朝鮮関連の本の中でも評価が高いものです。
”Nothing to envy” by Barbara Demick
タイトルは北朝鮮の有名な童謡「この世にうらやむものはない」から。
北朝鮮の庶民の生活が細かく書かれていると定評のある一冊。「謎に包まれた怖い国」というイメージの北朝鮮に生きる人々の何気ない生活があることがわかります。北朝鮮という独裁国家に生まれたばかりに、苦労や悲劇がまるで当たり前かのように日常的に起こっているということがよくわかります。
"Without you, there is no us" by Suki Kim
タイトルは北朝鮮の歌曲「あの方なしでは生きられない」から。
北朝鮮のエリート校で英語を教えたキム・スキ氏の実体験が描かれています。外の世界から遮断され、自国の輝かしい未来だけを信じて生きる北朝鮮の若いエリートの卵たち。葛藤を抱えながら彼らと過ごしたキム氏の、貴重な記録です。
キム氏のTED講話はこちら♡
他のベストムービーに関する記事はこちら♡